風日祈宮橋(内宮)


 伊勢神宮・内宮の別宮であります「風日祈宮(かざひのみや)」にお参りするには、島路川にかかる風日祈宮橋を渡ることになります。晩秋の橋からの風景は、神宮で一番素晴らしい景色の一つです。式年遷宮の一つとして今年九月には、新しい橋が渡れるようになりました。昨年の宇治橋ほどは注目されませんでしたが、静かな森の中で檜の匂いが清々しいです。

 内宮の背後にある山と原生林から流れてくる川の澄んだ美しさと、紅葉と緑のコントラストは、心をわしづかみにして洗ってくれます。この川の上流は、伊勢道路と寄り添うように流れていますが、この道沿いの紅葉も是非体験ください。

 風日祈宮の祭神は、級長津彦命(しなつひこのみこと)と、級長戸辺命(しなとべのみこと)で、内宮の祭神である天照大神が太陽神なのに対して、風雨をつかさどる神々です。
 この宮が内宮の別宮に「出世」したのは、13世紀、元が日本に攻めてきた、いわゆる蒙古襲来がきっかけです。
 蒙古軍団の強大な武力に危機感を抱いた朝廷は、全国の有名寺社に対し敵国降伏の祈祷を行うよう命令します。風日祈宮でも祈祷が行われた結果、神意により博多湾に神風が吹き、侵略者どもは撃退され、神国日本は防衛されたのです。この御神徳をたたえ、別宮に昇格したといういわれがあります。

 神楽殿の向いにある参道から橋を渡って風日祈宮へお参りに行きます。


 神楽殿横では、新春の初詣の準備がすすめられていました。年末年始、たくさんの人たちがお礼参りやお願いに訪れにぎやかな季節を迎えます。もう師走になりこの1年間無事過ごせたことは、神恩感謝です。

   神楽殿前には、菊の大輪が飾られていました。
御神楽(おかぐら)は「神遊び」とも言われ、太古から神事に用いられてきた歌舞で、大御神の広大な御神恩に感謝の気持ちをささげるために奏するものです。

 江戸時代には「おかげ参り」とよばれる伊勢神宮参拝の大ブームがおこりましたが、この伊勢神宮で御神楽をあげることが人々のあこがれでした。
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