ナギは熊野権現のご神木で、その葉は、笠などにかざすことで魔除けとなり、帰りの道中を守護してくれるものと信じられていました。
ナギはマキ科に属する針葉樹でありながら、広葉樹のような幅の広い葉をもつちょっと変わった樹木です。
その葉がまた変わっていて、縦に細い平行脈が多数あって、主脈がありません。その一風変わった構造のため、ナギの葉は、縦には簡単に裂くことができますが、横には枯れ葉であってもなかなかちぎることができません。葉の丈夫さからナギにはコゾウナカセ、チカラシバなどの別名があり、その丈夫さにあやかって男女の縁が切れないようにと女性が葉を鏡の裏に入れる習俗があったそうです。
また、ナギは、他の植物の生育を抑制する働きをもつナギラクトンという化学物質を分泌するそうです。
葉の丈夫さや他の植物の生育を抑制する力をもつことからナギの葉は魔除けのお守りにされるようになったのかもしれません。
平安末期に熊野三山造営奉行を務めた平重盛(清盛の嫡男)の手植えと伝えられていてナギとしては日本最大。樹齢はおよそ千年といわれ国の天然記念物に指定されています。
神門のなかに入ると、朱塗りの瑞垣。その向こうにやはり朱塗りの社殿が横に5棟並んでいます。まだまだ真新しく見える社殿は昭和に再建されたものです。向かって左から第一殿、第二殿、摂社の奥御前三神殿、第三殿・第四殿・神倉宮の三社相殿(あいどの)、第五殿から第十二殿までの八社相殿と5棟、並んでいます。
向かって左に礼殿があります。礼殿の前には第一本社と第二本社が並んでいます。第一本社は「結宮(むすびのみや)」といい、熊野結大神(くまのむすびのおおかみ。那智の主神)を祀っています。第二本社は「速玉宮(はやたまぐう)」といい、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)を祀っています。
新宮では熊野速玉大神・熊野結大神の2柱を主神としています。速玉大社というので、速玉大神が主神と思われますが、結、速玉の2神が主神だということです。この2神、速玉が男神で、結が女神ということで、夫婦神と考えられていたようで、もともとは一社殿に祀られていました。
神門入って正面の社殿に「上三殿」といい、第三殿の「証誠殿(しょうじょうでん)」、第四殿の「若宮(わかみや)」、「神倉宮」の3社相殿で順に、「家都美御子命(けつみみこのみこと。本宮の主神)、国常立尊」「天照大神」「高倉下命(たかくらじのみこと)」を祀っています。神倉宮は新宮の旧宮の神倉山の祭神を祀っています。
第二本社と上三殿の間には、小さな摂社の奥御前三神殿があります。天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神の3柱を祀っています。
向かって右の社殿は、中四社・下四社の合わせて8社殿の相殿で八柱の神々を祀っています。
明治の神仏分離以前、熊野では神仏は習合していました。6世紀に伝来された仏教ですが、次第に神道と融和。平安後期には本地垂迹(ほんじすいじゃく)思想が浸透していきます。
本地垂迹思想とは、神の本地(本体)は仏であるという考え方。仏や菩薩が人々を救うために仮に神の姿をとって現われたのだという考え方です。もとの仏や菩薩を本地といい、仮に神となって現われることを垂迹といいます。また、その仮に現れた神のことを権現といいます。
平安末期、12世紀には、熊野三山それぞれの12の社殿に祀られた神々は熊野十二所権現と呼ばれ、すべて本体は仏や菩薩であると考えられました。
熊野速玉大神は薬師如来、熊野結大神は千手観音、家津美御子大神は阿弥陀如来を本地とするされました。
本地とされる仏・菩薩にはそれぞれ独自の御利益があり、薬師如来(熊野速玉大神)は過去世の救済、病の治癒を司り、千手観音(熊野結大神)が現世利益を授け、阿弥陀如来(家津美御子大神)が来世の加護を与えるというように考えられていました。
過去世・現世・来世の三世にわたって人々を救う神仏の住まう熊野は、浄土の地として人々に認識されるようになりました。
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