初愛宕大祭 平成24年


  国道42号線(旧熊野街道)がすぐ横を通る、愛宕山 上福院 龍泉寺では、毎年、1月24日、25日に「初愛宕大祭」と「愛宕市」を行い、寒い季節にもかかわらず多くの人が訪れにぎやかです。

  火から除災のための「朱札」や「お札」、「お守り」を新しいものに取り換えたり、農具販売の愛宕市をのぞいたりとされて、冬の縁日を楽しんでいかれるご年輩の方が多いようです。
 

  本尊の愛宕大権現は空海(弘法大師)が鎮護国家・万民快楽のために自刻したと伝えられています。今も神仏習合時代の名残のある寺で、江戸時代の龍泉寺は、愛宕神社の別当寺でした。明治政府による神仏分離の際、神殿を仏殿本堂として本尊をお祀りしました。このように、愛宕権現をお祀りすり寺院は、全国に数社しかないようです。

  開創は聖武天皇(在位724-49)が行基に勅し、一志郡中郷村滝野川に一宇を建てたのが始まりと伝えています。その後、七堂伽藍建立し滝野川寺と称したようです。
 伊勢国司の北畠家の厚い信仰を受けていましたが、戦国時代になり、織田信長の侵攻により松ヶ島の平尾に移され、龍川寺とされましたが、蒲生氏郷の松坂城と町づくりのため、現在の地へ建立されました。そして、1581年に正親町天皇の御綸旨を下し勅願所となり、「愛宕山 上福院 龍泉寺」と称する事になりました。

  大祭は、火防安住、勝運隆盛、良縁招福の大祈祷を行います。本殿にて法要、境内にて山伏(三重修験道会)による紫灯護摩供養が行われます。信徒の人たちは、火防の赤札を参拝の証として近隣縁者に配る慣わしがあるようです。

  愛宕権現は、愛宕山の山岳信仰と修験道が融合した神仏習合の神で、修験道の道場として信仰されていました。龍泉寺の本堂でも山伏姿の方が、朱札を授けてお唱えをしてくださいます。

  お参りの後は、愛宕市で農具の品定めをして、春からの農作業の準備をしていくのでしょう。また、甘酒の振舞いがされています。


    松阪霊地七福神の毘沙門天様も祀られています。


  お寺ですが、朱色の鳥居をくぐってお参りするのは、珍しいですね。鳥居の横に修理中の山門がありますが、これは松阪の木造物で最古のものと言われています。
 1588年の松坂城築城のため、不要となった松ヶ島城の裏門を蒲生氏郷が寄進したものと伝えられています。切妻造り、本瓦葺きの一間一戸の薬医門、剛壮で安土桃山時代の風格を残しています。県の重要文化財に指定されいます。


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四季桜の咲く来迎寺


  松阪市白粉町の来迎寺境内に今年も可憐な四季桜が咲き、訪れる人を和ましてくています。春と秋の二回も淡いピンク色の花びらを見ることができる桜の木に御念仏とともにありがたさを感じます。

  四季桜は、春の彼岸頃から開花を始め、ヒガンザクラと同時期から満開となり、白や淡紅色の花をつけます。秋は10月から12月と続いて咲いていきますので、時期外れに咲き続ける桜は、不断桜、冬桜、寒桜とも呼ばれます。

  春は開花と同時期に新芽を出しますが、秋は、自らの葉が落ちるとともに開花してきます。花は、春の方が大きくなりますが、晩秋の桜は、清楚そして可憐でいいですね。


  隣にある河津桜が紅葉しているのにピンクの桜とのコントラストが秋ならではです。日当たりがいいので、まだまだ咲いていてくれるでしょう。

   快晴の朝ですが、境内の西の空には、月が残っていました。

   本堂の前にある椿にピンクの花が咲き始めました。

  1821年に落成した鐘楼門が朝日に映えます。境内は、紅葉の季節に花が咲き極楽浄土の様子でしょうか。静寂の境内ですがお墓詣りに人が訪れます。

   大晦日には、大勢の人が除夜の鐘を突きにに登ります。


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美濃田の大仏様


  松阪ICからほど近い美濃田町の敏太神社(みぬだじんじゃ)の隣りに三重県には珍しい大仏様が建立されています。元々は、800年ほど前の鎌倉時代に本地仏として木造の大仏が作られ真楽寺の塔頭であった長楽寺に安置さていたそうですが、440年ほど前に織田信長の伊勢攻めで難攻不落であった大河内城との戦いの際、神社、お寺、大仏などすべて焼き払われてしまいました。


  現在の大仏様は、江戸時代の1737年紀州粉河に住む蜂屋平右衛門正勝が製作したものです。この大仏は、隣接地の敏太神社の八幡宮の本地仏として真楽寺の三世静室素住と地元の中川清左衛門とが協力して造立のために資金集めに奔走して苦難の末、13年がかりで高さ3mで鋳造の阿弥陀如来として再建されました。

  苦労した造像資金を集めるためには、享保14年(1729)より3年間、伊勢参りでにぎわう市場庄の参宮街道へ小屋を作り、そこに実物と同じ3m丈の絵像をかけ、真楽寺の弟子たちが詰めて、往来する旅人から援助をしてもらいました。その喜捨を得たい旨、関係筋へ願い出たそのときの文書が残っているそうです。

  当時、伊勢国にも津を中心に活躍した辻氏という実力ある鋳物師がいました。梵鐘を中心にして、今も県内に多くの作品が残されていて、津市の天然寺や大門・観音寺には高さ約160Cm銅造の阿弥陀如来立像も残されています。すぐ近くに著名な鋳物師がいるのに、なぜわざわざ紀州の鋳物師に建造したのか?真楽寺に残っている書面によると、辻氏や何人かからも見積もりをもらったのですが、高かったようで、制作費が安く、また実績もあった蜂屋平右衛門に発注することになったようです。

  当時、江戸時代の松阪は、津の藤堂藩の中の飛地で、紀州徳川藩の領地でしたので、往来が多かった同じ紀州藩の粉河との関係は、問題なく作れたと思います。文書には、美濃田から粉河へ出向いて打合せをしている様子もわかりますし、大仏の頭部は粉河の方で特に入念に造って松阪まで運んでいます。松阪と和歌山は、櫛田川に沿って高見山を越え吉野そして紀ノ川で結ばれ、参勤交代や伊勢参りなど往来が盛んだったのでしょう。

  明治元年の神仏分離令により真楽寺と神社は大仏の北側に道路を作って分けられ長楽寺は廃寺となり、大仏様も真楽寺に移されました。しかし明治9年に有志が台座を新造して現在の場所へ大仏様をもどしています。

       道で隔てたところに禅寺の真楽寺があります。

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炎の文字は「希」


  来迎寺の今年の一文字は、「希」でした。ろうそくの炎で浮かびあげることができました。大勢の人が見に来て下さりましたね。

  報恩感謝や商売繁盛、家内安全などと書かれたローソクが並んでいます。

  来迎寺の炎の祭典は、元三大師様とのご縁をいただき生きることの感謝と平和と厄除けを願う市民のためのお祈りの場となっているようです。今年は、東北大震災や台風の被害で天変地異の驚異を感じますが、自然との共存を考えていかなければいけないでしょう。

      火が勢いを増して、希を浮かび上がらせます。

   夜の空気はすっかい秋になり、肌寒くなってきました。秋の夜長はいろんな思いをめぐらし素晴らしい未来を創造し、気持ちを熱くしましょう。

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炎の祭典(万灯会)の日


  毎年、9月28日は、夕方から松阪市白粉町の来迎寺で『炎の祭典』(元三大師会式=万灯会)が行なわれます。檀信徒より献灯されたローソクを境内に並べて文字を描く祈願法要がおこなわれます。

  松阪の寺院の三大祭として元三大師会式(がんざんだいしえしき)は、大変にぎわった時代があったようですが、今もご住職をはじめ、檀家さんのご尽力により継続されています。

  来迎寺は天台真盛宗に属し、永正年間の創建と伝え、松ヶ島にあったが、天正16年(1588)蒲生氏郷による松阪築城に伴い、城下の白粉町に寺地を拝領して現在に至っている。  表門は、文政4年(1821)に竣工した一間鐘楼門で、大棟には瓦の鯱を挙げる。一階が通路、二階に鐘が掛ける。鐘は門より古く貞享元年の銘文がある。扉はケヤキの一枚板です。
  檀家には豪商三井家の他、安南貿易の角屋七郎兵衛一族や、豪商長井家などであり、本居宣長翁もしばしば覚性院に遊び、桜や紅葉を楽しみ歌会を開いたようです。

  元三大師は、比叡山延暦寺第十八代の座主として三千坊を復興された方で、名前は、慈恵大師良源といいますが、亡くなられたのがお正月の三日とういことから、「元三大師」と呼ばれているようです。

  昭和59年に元三大師堂が再現され、病気平癒や事業繁栄それに不思議なご利益をいただけたと参拝す方が多くいらっしゃるようです。ローソクを御灯を御仏前に献じて諸願成就を祈ります。

  炎の祭典では、広場に2000本近い大小のローソクをたて文字が一つ書かれます。日が暮れて、八雲神社で採灯された火で一斉に点火されると「祈願法要」されクライマックスへとなっていきます。今年の文字が何かお参りにお出かけ下さい。如意輪観音護摩供養もあります。

  元三大師は、六道を救う如意輪観世音菩薩の化身と仰がれて「叶わずという事なし」と伝えられていますので、開運厄除、息災安穏、商売繁盛、病気平癒などの大衆諸願を成就させられたと信じられています。今晩、白粉町の来迎寺へ元三大師様とのご仏縁を結びにお出かけ下さい。

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