伊勢市にある三重県営サンアリーナに約八千人を集め、10月4日に100歳の誕生日を迎えられた、日野原重明氏の講演を聞くことができました。神宮のお正月である神嘗祭が行われている特別な日にいらっしゃれるのは、2000年という悠久の歴史のある伊勢と100歳になられた日野原先生の運命なのでしょう。
日野原重明氏は、1911年に山口県で生まれ、医学の道に進まれ、はやくから予防医学の重要性を指摘され「生活習慣病」とう名称を生み出され、現在も臨床医として現役であり、執筆、講演を国内外でされるスーパーマンです。80歳で東京築地の聖路加国際病院の院長になり、今は、理事長をされています。1999年に文化功労者、2005年には、文化勲章を受章されています。
講演で日野原先生は、2000年に「新老人の会」を立ち上げ、世界中を元気にしたいという「夢(ビジョン)を天空に描く」というお話しをされました。先人から受け継いだ命を子供や孫へつなげて、大きな夢を現実のものとして心豊かに生きて行こうと考えていらっしゃいます。
☆ 新老人のスローガンと一つの使命
1.愛すること To love.
(互いに愛し、愛されること)
2.創(はじ)めること To commence.
(新しいことを老年になってからでも創めること)
3.耐えること To endure.
(耐えること、不幸や苦境に遭ってもよく耐えることで、人間としての感性が磨かれる)
4. 子どもへの接近、平和と愛を目指して
Approch to kids, Peace and love.
(戦争を体験した老人が戦争による苦しみや不幸な死から学んだことを若い世代、小学生の孫たちに伝えること)
☆ 新老人(The New Elderly)の新しい定義
「自立して勇気をもち 夢を追って行動する姿」
日野原先生が、団塊の世代の人たちにいいたいのは、60、65歳ではまだ老人ではないということ。実りある人生のために上記の三つのことをしてくださいといっています。愛すること、耐えること、新しいことをする。団塊の世代は今まで会社や役所のために働いてきたので、これからはこの三つをモットーに新しいことにチャレンジしてほしい。そして、次の世代へ良い生き方のモデルを示していってもらいたいと思ってらっしゃいます。
日野原先生は、58歳だった1970年、よど号のハイジャック事件に遭遇し北朝鮮で4日間拘束されました。助かった時、「これからが新しい人生」だと思ったそうです。なくした人生をいただいたと思い60歳からは挑戦の連続で、現在も患者の回診、会議、講演会に原稿書きと超多忙な毎日のようで、2日前まで台湾で講演、交流をされてこられました。健康の秘訣は「腹七分目と、短くても熟睡すること」といい、大きなビジョンの実現へ走り続けている姿に感銘を受け、元気をいただきました。
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