尾鷲のおとと


  今年の3月3日にリニューアルオープンした、尾鷲のお魚市場{おとと」は、尾鷲の中心地を南北に縦貫する国道42号線の大型スーパーや病院のある便利な場所にあります。

  リニューアルオープンに合わせて店のコンセプトを尾鷲の商品だけでなく東紀州一円に広げ新商品の開発も積極的に取組み地元の人にも買い物に来ていただけるようにしています。また、店内を明るく広くして休憩と食事できるスペースを取りきれいになりました。

  サンマ寿司の種類も豊富で一匹分、10切れもあるものから、3切れ入りで300円のような小口の商品も並んでいて手頃に買い物ができるのが嬉しいです。

  オリジナルのひものや加工品のパッケージもかなり垢抜けしたものになり、野菜や鮮魚、乳製品といった最寄品のアイテムも充実しています。

  3年後、高速道路(紀勢自動車道)尾鷲市内までつながり尾鷲北インターでいったん終点となるので、車が国道42号に入り、おととの前を通り市街地南部にある尾鷲南インターから再び自動車専用道路尾鷲熊野道路を利用して熊野、新宮方面に行きますので、今後の観光客増加が見込めます。

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鬼ヶ城の奇岩


 熊野灘の荒波にもまれてきた複雑怪奇な鬼の城のごとき岩盤と美しい海です。

  案内板に「鬼ケ城は、海風蝕と数回の大地震で隆起した凝灰岩の大岸壁。東口から西口の弁天神社まで約1kmの間には、大小無数の洞窟が階段状に並び、奇岩奇勝で知られる名勝である。その昔、桓武天皇(737?806)の頃、この地に隠れて熊野の海を荒らし廻り、鬼と恐れられた海賊多娥丸(たがまる)を、天皇の命を受けた坂上田村麻呂(751?811)が征伐した。その伝説に基づいて鬼の岩屋と呼ばれたが、後に鬼ケ城といわれるようになった。」とあります。

  遊歩道を行くと東口から順に、千畳敷、奥の木戸、猿戻り、鬼の風呂桶、犬戻り、神楽岩、木喰岩、鰐(ワニ)岩、潮吹、飛渡り、鬼の見張場、水谷、鬼の洗濯場、波切不動、蜂の巣となります。

  1935年(昭和10年)に国の天然記念物に指定された後、1958年(昭和33年)に獅子巌が追加指定され、名勝および天然記念物「熊野の鬼ケ城 附 獅子巖」となりました。2004年7月に、ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の一部として登録されています。また、日本百景に選定されている風光明媚な所です。

  熊野灘の荒波に削られた大小無数の海食洞が、地震による隆起によって階段上に並んだものが「鬼が城」と呼ばれるようになりました。

  「鬼ヶ城」は、伊勢志摩から延々と続くリアス式海岸の最南の地で、ここから南はなだらかな七里御浜の風景が広がり和歌山県境の熊野川まで続き、大自然の雄大さを感じることができます。


大台ケ原の小径


  奈良県吉野郡上北山村、川上村と三重県多気郡大台町旧宮川村に跨っている大台ケ原は、頂上が平坦な複数の山からなる東西5 kmほどの台地状です。深田久弥によって「日本百名山」の一つとされています。日本百景、日本の秘境100選にも選ばれていて、最高点の日出ヶ岳は標高1694.9 mで三重県の最高峰です。

  大台ケ原には、雄大な眺望を求めて、近畿圏を中心に年間十数万人もの人が訪れます。そんな多数の登山者に対して気象や動植物の紹介、また季節によって刻々と変化する山の自然情報の提供などを大台ヶ原ビジターセンターが行っています。

  「苔むす森を再び」を合言葉に、近年、荒廃が進む大台ヶ原の大自然の再生にも力を入れていて、多くの人々に山の大切さと自然の恵みなども理解してもらえるようスタッフたちが努力しています。冬期閉鎖があるため4月中旬から11月末までが開館されています。

  大台ヶ原は、日出ヶ岳や大蛇?など主要な展望地がある東大台と、原生的な森林が広がる西大台の2つに分けられますが、貴重な大自然を残すために“西大台”は、日本国内で唯一の「利用調整地区」として入山者数の制限や利用のルールが設けられ、入るには事前に入山手続きが必要です。

  大台ケ原のハイキングコースで、一般向けの“東大台”は、コースの整備がされていて、道中には案内板や動植物等の解説板が設置されており、歩きやすいコースとなっています。
周遊コース:約9km 所要時間:約4時間
東大台コースの見どころ:日出ヶ岳→正木峠→牛石ヶ原→大蛇?→シオカラ谷

 もうひとつのエリア“西大台”はモスフォレストと呼ばれる苔の多い林や広大なブナ等の原生林が広がり、静寂で神秘的な雰囲気を体感できるエリアですが、貴重な大自然を残すために入山規制があり、事前に入山手続きが必要です。
周遊コース:約10km  所要時間:約5時間

  古代から苔むす原生林であったものが、近年は生態の変化や人の手により山が荒らされたりで大自然の一部が荒廃してきています。

  1959年(昭和34年)に紀伊半島を襲った伊勢湾台風は、それまで地表を覆っていた森林を破壊し、その木々が流出したことによりそれまで地面に自生していたコケ類が衰退したため代わってササ類が繁茂し始めました。笹を主食とするニホンジカの数が増え、針葉樹の実生や樹皮までも採食するといった複合的な要因によって現在も環境変化が続き貴重な自然が失われていくのも世の流れでしょうか。人間の力で自然をコントロールすることは、大変難しことでしょう。

                大自然との共存が課題ですね。

  紀伊山地のもっとも険しい山々が連なる場所につくられたのが大台ヶ原ドライブウェーは、尾根づたいを縦断する道の跡を遠くから見ることができます。どうやってこんな場所に道路をつくったのだろう?大変だっただろうと思われます。現在、昨年の台風で一部道路が崩れているため迂回路が作られています。

    悠久の時を感じる大台ケ原の山々は、素晴らしいです!

         古代から変わらない山と空に感動しました!

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花の窟と産田神社


  花の窟は、神々の母である伊弉冊尊(イザナミノミコト)が火神・軻遇突智尊(カグツチノミコト)を産み、灼かれて亡くなった後に葬られた御陵です。平成16年7月に世界遺産に登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」に花の窟も入っています。花の窟神社は、日本書紀にも記されている日本最古の神社といわれていて、黄泉への入口とも言われてきたことから聖地として今に続く信仰はあつく、全国から多くの参拝者がありります。

  日本書紀にも記述されている祭事「御縄掛け神事」が2月2日と10月2日に見られるます。巨岩を御神体とする神社の姿もほぼ当時のまま。もともと熊野では、社殿がなく岩や大樹を祀っている神社も珍しくなく、今も点在しています。その代表格の花の窟神社は、かつての自然崇拝を現代に伝える貴重な文化財といえます。


  高さ約70メートルの巨岩にお祀りされている伊弉冉尊のすぐ前の高さ12メートル程の岩に軻遇突智尊(カグツチノミコト)の神霊を祀り、軻遇突智尊が伊弉冉尊の御子であることに依拠して、王子ノ窟(聖ノ窟)と呼ばれています。

 社務所には、休日だけ氏子さんがいて、お札やお守りを授与してくださいます。


  産田神社は弥生時代からの古い神社で、伊奘冉尊(いざなみのみこと)と軻遇突智神(かぐつちのかみ)を祀っていて、日本に米作りが伝えられた頃からあったと考えられており、古い土器も出土する。古代には神社に建物がなく、『ひもろぎ』と呼ばれる石で囲んだ祀り場(祭祀台)へしめ縄を張り神様を招いたのです。この神社の左右にある石の台がそれである。日本で二箇所しか残っておらず大変古くて珍しいものです。

  『日本書紀』によると女神伊奘冉尊(いざなみのみこと)が、ここで軻遇突智(かぐつち)を産み亡くなったので、花の窟に葬ったという。産田という名は産んだところと伝えています。

  花の窟と産田神社とセットでお参りするのがよいのでしょう。

  ちなみにサンマ寿し発祥の地でもあるようです。国道42号線から1?ほど入りますが、熊野本宮大社の元はここだという伝承があるほど由緒のある神社ですので、お参りいただきたいと思います。

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ご神木はナギ 熊野・速玉大社


  ナギは熊野権現のご神木で、その葉は、笠などにかざすことで魔除けとなり、帰りの道中を守護してくれるものと信じられていました。
 ナギはマキ科に属する針葉樹でありながら、広葉樹のような幅の広い葉をもつちょっと変わった樹木です。
 その葉がまた変わっていて、縦に細い平行脈が多数あって、主脈がありません。その一風変わった構造のため、ナギの葉は、縦には簡単に裂くことができますが、横には枯れ葉であってもなかなかちぎることができません。葉の丈夫さからナギにはコゾウナカセ、チカラシバなどの別名があり、その丈夫さにあやかって男女の縁が切れないようにと女性が葉を鏡の裏に入れる習俗があったそうです。
 また、ナギは、他の植物の生育を抑制する働きをもつナギラクトンという化学物質を分泌するそうです。
 葉の丈夫さや他の植物の生育を抑制する力をもつことからナギの葉は魔除けのお守りにされるようになったのかもしれません。

  平安末期に熊野三山造営奉行を務めた平重盛(清盛の嫡男)の手植えと伝えられていてナギとしては日本最大。樹齢はおよそ千年といわれ国の天然記念物に指定されています。

  神門のなかに入ると、朱塗りの瑞垣。その向こうにやはり朱塗りの社殿が横に5棟並んでいます。まだまだ真新しく見える社殿は昭和に再建されたものです。向かって左から第一殿、第二殿、摂社の奥御前三神殿、第三殿・第四殿・神倉宮の三社相殿(あいどの)、第五殿から第十二殿までの八社相殿と5棟、並んでいます。

   向かって左に礼殿があります。礼殿の前には第一本社と第二本社が並んでいます。第一本社は「結宮(むすびのみや)」といい、熊野結大神(くまのむすびのおおかみ。那智の主神)を祀っています。第二本社は「速玉宮(はやたまぐう)」といい、熊野速玉大神(くまのはやたまのおおかみ)を祀っています。
 新宮では熊野速玉大神・熊野結大神の2柱を主神としています。速玉大社というので、速玉大神が主神と思われますが、結、速玉の2神が主神だということです。この2神、速玉が男神で、結が女神ということで、夫婦神と考えられていたようで、もともとは一社殿に祀られていました。

  神門入って正面の社殿に「上三殿」といい、第三殿の「証誠殿(しょうじょうでん)」、第四殿の「若宮(わかみや)」、「神倉宮」の3社相殿で順に、「家都美御子命(けつみみこのみこと。本宮の主神)、国常立尊」「天照大神」「高倉下命(たかくらじのみこと)」を祀っています。神倉宮は新宮の旧宮の神倉山の祭神を祀っています。
 第二本社と上三殿の間には、小さな摂社の奥御前三神殿があります。天之御中主神、高皇産霊神、神皇産霊神の3柱を祀っています。
 向かって右の社殿は、中四社・下四社の合わせて8社殿の相殿で八柱の神々を祀っています。

  明治の神仏分離以前、熊野では神仏は習合していました。6世紀に伝来された仏教ですが、次第に神道と融和。平安後期には本地垂迹(ほんじすいじゃく)思想が浸透していきます。
 本地垂迹思想とは、神の本地(本体)は仏であるという考え方。仏や菩薩が人々を救うために仮に神の姿をとって現われたのだという考え方です。もとの仏や菩薩を本地といい、仮に神となって現われることを垂迹といいます。また、その仮に現れた神のことを権現といいます。
 平安末期、12世紀には、熊野三山それぞれの12の社殿に祀られた神々は熊野十二所権現と呼ばれ、すべて本体は仏や菩薩であると考えられました。
 熊野速玉大神は薬師如来、熊野結大神は千手観音、家津美御子大神は阿弥陀如来を本地とするされました。
 本地とされる仏・菩薩にはそれぞれ独自の御利益があり、薬師如来(熊野速玉大神)は過去世の救済、病の治癒を司り、千手観音(熊野結大神)が現世利益を授け、阿弥陀如来(家津美御子大神)が来世の加護を与えるというように考えられていました。
 過去世・現世・来世の三世にわたって人々を救う神仏の住まう熊野は、浄土の地として人々に認識されるようになりました。


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