三輪山に登る


  春分の日に太陽が通るとされる北緯34度32分には、多くの遺跡や神社仏閣、岩石があるとされています。その一つで中心ともいうべきところが桜井市の三輪山です。

   三輪山は、神聖なところで大神神社の御神体の山なんです。

  御神殿を持たない日本古来の神道の形式を今に伝えている大神神社は、大物主神を祀っています。


  御神体である三輪山に登ることができるように受付をする所が狭井神社で、大神神社の荒魂をおまつりしていて、古くより、華鎮社(はなしづめのやしろ)と称され、病気を鎮める神としての信仰が厚く、ご神水の湧き出る薬井戸があります。

  多くの人が井戸の水をペットボトルなどに詰めて持ち帰っていかれます。

  登拝にあたっては、狭井神社の社殿で名前、住所、人数を用紙に書き一人300円で受付けをすませ、「登拝証」の鈴の付いた襷を預かり首に巻いてつけます。

  自ら祓い清めてから登拝道を心静かに進む事が義務づけられています。

  入口にある杖を借りて、往復約2時間、神気に満ち溢れるお山に入っていきます。靴を脱いではだしでいかれる方もいるほど神聖なところですので、誰もが心身の穢れが洗い流される気持ちになりますが、神様も穢れを嫌がりますので、写真撮影・飲食が禁止で大声を出したり寄り道できません。

  標高467メートル、万葉の時代から変わらない 松、杉、桧などの針葉樹に覆われた深い緑の山中、整備された道が続きます。「辺津磐座」「三光の滝」「中津磐座」を経て、頂上の「高宮神社」、更に進めば。神代の時代を彷彿とさせる「奥津磐座」に至り、往復約2時間ほどですが、体力のない方には少々きついかもしれません。

  三輪山は、秀麗な円錐形の山で「ヤマト王朝と三輪山の聖域」と言われた信仰の山です。原始の神祀りの様と信仰を今に伝えている数少ない神聖な場所に巡拝することを心静かに神様に近づける幸せと感じます。

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長谷寺のパワー


  桜井市の長谷寺は三輪山の麓にある檜原神社と伊勢の国斎宮跡を結ぶ一直線上に位置しています。この一直線は測量によって形成されるものであり、小川光三氏によって「太陽の道」と名づけられました。長谷寺の十一面観音は右手に錫杖、左手に水瓶を持って方形の大盤石という台座に立つ、いわゆる長谷寺式十一面観音菩薩です。右手に錫杖をもつ観音はわが国では、この長谷寺だけといわれています。
 長谷寺の僧侶さんは、毎朝、東に向って拍手を打つといわれることからも太陽信仰と関係があるようです。

  長谷寺は、三輪山との関係が深く太陽と水のバランスが取られています。

  「五重塔」は戦争殉難者壇信徒慰霊と世界平和を祈願し、昭和29年(1954年)に建立され、平成元年(1989年)には興教大師の850年忌記念に際し修理が行われました。

  五重塔の前には、豊臣秀頼によって再建されましたが、明治9年に落雷で焼失した三重塔跡が礎石のみを残しています。

  一切経堂(いっさいきょうどう)は、1561年牧野備後守成貞によって再建され、唐木の一切経が治められていますが、現在立ち入り禁止になっています。外見だけ見ても風情があります。

  「弘法大師御影堂」は弘法大師入定1150年忌を記念して昭和59年(1984年)に建立されました。

     写経堂は、改装され新しくなっています。


  長谷寺は、一年を通して美しい花の寺としても知られ多くの人が訪れます。

  幻想的で威厳のあるたたずまいの長谷寺の観音様は、世間の苦しみと悩みを聞き届けてくれ癒してくださります。


十一面観音様の本堂は国宝


  長谷寺の本堂は、大河ドラマ「江」の息子である徳川三代将軍家光の寄進を得て、正保2年(1645年)から工事に取り掛かり、5年後の慶安3年(1650年)に落慶したもの。本堂は傾斜地に南を正面として建っていて前面が京都の清水寺本堂と同じく懸造(かけづくり、舞台造とも)になっています。そこからは長谷寺境内全体を見渡せる展望が開けています。
 仁王門をくぐって長い登廊(のぼりろう)上中下と3つ合わせて399段の石段をクリアすると、さらに本堂の入り口に2段あり計401段になります。「死(4)」の苦しみを乗り越えたところに観音様はいるということになっているとか。


  本堂舞台から見た長谷寺の風景。大きな木は、天狗杉と呼ばれるています。仁王門から一直線に上に伸びる「登廊」が丁度直角の曲がる右側に目通り4m樹高約60mの巨木です。「登廊」を従えて天を突くように聳えている姿は圧倒的な大きさを感じます。

        清水の舞台ならぬ、長谷の舞台です。

  本尊十一面観世音菩薩は奈良時代より盛んであった観音信仰の象徴として崇拝され、平安時代になると、高貴な人々のあいだで長谷寺への参詣が流行しました。人々に慕われた「初瀬詣で」は「源氏物語」「枕草子」など多くの古典に語られています。「初瀬詣で」は次第に武家、庶民へと広がり、長谷寺はさらに多くの信仰を集めました。

  本尊は、通常の十一面観音像と異なり、右手には数珠とともに、地蔵菩薩の持つような錫杖を持ち、方形の磐石の上に立つ姿である(左手には通常の十一面観音像と同じく水瓶を持つ)。伝承によれば、これは地蔵菩薩と同じく、自ら人間界に下りて衆生を救済して行脚する姿を表したものとされ、他には見られない独特の形式です。高さが10mほどある日本最大の木造仏で楠の霊木で造られています。

  本堂は、外観上は1棟ですが、本尊を安置する正堂、参詣者のための空間である礼堂、これら両者をつなぐ相の間の3部分からなっています。

       礼堂から相の間そして正堂を見ます。


  長谷寺を開いた徳道上人は、西国三十三所霊場めぐりの創設者と伝えられています。養老2年(718年)、徳道上人が病に倒れ冥土に行きましたが、閻魔大王から『あなたは死んではいけない。世に三十三の観音霊場があり、これを巡礼すると清められ、苦しみ悩みから救われる。まだ誰もこの霊場のことを知らないので、人々に知らせて広めよ』と教えられ、宝印を授けられて蘇り(黄泉帰り)されました。徳道上人は三十三の観音霊場をめぐり、人々に霊験を説いてまわりましたが信じてもらえませんでした。落胆した上人は閻魔大王から授かった宝印を摂津の中山寺に埋めて機が熟すのを待つことにしたようです。この宝印は約270年後に花山法皇によって発見され、再興されました。西国観音めぐりは、日本で最も古い巡礼で参拝者が多い事で知られています。

  長谷寺では、東北大震災後、義援金を集めるのに托鉢にとどまらず、若い僧侶たちの発案で始めた試みという本堂近くの鐘楼堂を開放して、参拝者に梵鐘を見てもらい寄付を募る箱が置かれるようになりました。


長谷寺の登廊と牡丹


 奈良県桜井市にある長谷寺は、真言宗豊山派総本山の寺院で、山号は豊山神楽院。ご本尊は十一面観音、開基は道明上人です。
 西国三十三観音霊場第八番札所として全国に末寺約3000寺、檀信徒はおよそ300万人といわれています。

  入口にあたる仁王門は、現在改修中ですが、平安時代に一条天皇の御代にはじめて建立されたそうです。現在の門は1885年(明治18年)の再建されたもので、楼上に十六羅漢を安置し、左右の両脇に金剛力士が立ちにらみを利かせています。

  天部の一つである金剛力士は、仁王の名前で親しまれる口を開いた阿形と口を結んだ吽形の姿が対になっていて表門に安置されることが多く、守護神となっています。

    金網が張ってあって、写真ではうまく姿をとらえられません。

  わら草履や前掛け、千羽鶴がかけてあるのは、生活や旅の厄除け、安全を祈願しているのでしょうか。

  仁王門をくぐると、国の重要文化財になっている登廊(のぼりろう)が、399段の階段で本堂までつながっています。

  最初に造られたのは、1039年に春日大社の社司中臣信清が、子の病気平癒の御礼に造ったもので、上中下の三廊に分かれています。

  下、中廊は明治二十二年(1889)再建のものですが、古来の形式を残していて、二間おきに風雅な長谷型の灯籠が吊るされています。

  花の御寺といわれる長谷寺は、牡丹や紫陽花など四季折々の花々が季節を感じさせてくれます。特に牡丹は、150種、約7000株が植えられて見事な花を咲かせます。この石畳の所もビューポイントです。

  登廊の両脇には、牡丹が植えられているので、花が満開の時は、美しい花を眺めながらのんびりと登ると、長い階段の辛さが和らぎ華やかな気分になるでしょう。猛暑の日は、かなりきついですね…。春がおすすめです!



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第29回 斎王まつり


  いにしえの京の文化が栄えた、明和町斎宮で、天皇から伊勢神宮へ巫女として奉仕した未婚の内親王を偲んで行われる「斎王まつり」が昨日から始まり、今日の午後は、曇り空のもと「禊の儀」、「発遣の儀」と「斎王群行」が古式ゆかしく執り行われました。

  もとあったとされる斎王宮跡で儀式は行われました。

  斎王様の登場に場内は、美しさにくぎ付けになりました。今年選ばれた斎王は、地元明和町の三重大生‘竹内あずみ‘さんです。

  斎王制度は天武天皇の時代から始まったもので、南北朝時代まで約660年間続き、大津皇子の姉・大来皇女(おおくのひめみこ)を初代に60余名の斎王が伊勢へと赴いてきました。斎王は未婚皇女に限られ、ト定(ぼくじょう)という亀の甲羅を焼く占いの方法で選ばれたといいます。斎王は選ばれると、京の都で3年の潔斎の後、斎王に仕える官人・官女ら約500人の供まわりを連れ、5泊6日の行程で伊勢へと群行してきたのです。

  とてもたいそうに手を洗うしぐさは、「禊の儀」ですね。

  実際に、斎王が天皇にあてた文を読み、伊勢への出発を宣言する「発遣の儀」

  斎王の最も重要な務めは伊勢神宮の三節祭り(6・12月の月次祭(つきよみさい)、9月の神嘗祭(かんなめさい))への奉仕。20km離れた伊勢神宮へ2泊3日かけて赴き儀式を行うことです。普段の生活は祈りの日々を過ごし、また和歌を詠んだり、貝会わせのゲームに興じ、宮廷のような生活が営まれていたようです。最も華やかだったのは平安時代で、「伊勢物語」「源氏物語」などの平安文学に登場。伊勢物語では主人公と斎王とのロマンスが描かれ、題名の由来にもなったとされています。
  斎王制度は、室町時代におこった承久の乱の後、斎王の不在期間が多くなり、南北朝動乱の中で終わりを迎えたようです。武家社会の到来とともにその歴史を閉じたのですね。


  一番華やかだった平安時代期の群行の再現がはじまりました。


  子供斎王の役は、地元斎宮小学校の‘市野音衣‘さんです。

  広場から出て、近鉄電車の踏切を渡り、古代から多くの人々の往来があった参宮街道をいく群行に歴史と文化を感じます。

  女官の総括をする女別当(にょべっとう)もまた、とても美しいです。

  660年の間に60人以上存在したと言われている、斎王。 そのなかには2?3歳で選ばれた人や、結婚を考えていたのに結婚できなかった人、斎宮で叶わぬ恋をして愛しい人を港から見送った人、神に仕える身ゆえに恋をすることも許されず、己の命を絶って身の潔白を証明した哀しい人や、恋ゆえに斎王を解任されたり、恋人と引き裂かれたりした人など、さまざまな斎王がいたと伝えられています。


  見物の人や報道関係者が大勢いて、なかなかうまく写真が撮れなくて残念でした。もっと望遠のきく一眼レフがほしいと思ったお祭りでした。

  竹の都と言われた斎宮は、北緯34度32分の太陽の道と言われる太陽信仰における東の重要地(生まれる地)とされていました。春分の日、秋分の日にはこの上を太陽が通っていきます。ここから西へ堀坂山、室生寺、長谷寺、三輪山、檜原神社、箸墓古墳、大鳥神社などと著名な寺社や山が並んでいきます。
  斎宮の地は、古代の人たちの思いや技術が感じられる場所です。

  すぐそばを走る近鉄の線路も斎宮遺跡の一部です。

  斎宮駅は、各駅停車しか停車しないローカル駅ですが、今日は、混雑していました。斎宮跡のほか、竹神社や歴史博物館など普段はゆっくりと散策できるパワースポットです。

  今なお、古代ロマンの発掘が一部続けられています。

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  斎宮跡の周辺には、ハナショウブが植えられていますが、今年は少し開花が遅れていて、これからが見頃になります。ほとんどが、原種に近いノハナショウブという紫色の花を咲かせて楽しませてくれます。


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