遷宮の足音


弥生、朔日参り


  朝の神宮は、まだ寒いですが、日差しが強くなった気がしますし、ひと月前のお参りより確実に暖かくなってきました。

  朔日参りには、朝4時ごろから地元伊勢の方をはじめ大勢の参拝があります。

  今年の10月2日の遷宮をひかえ、全国から伊勢神宮へとお参りが増えています。

  遷宮のための作業場が、正宮階段下に作られ木を切ったり合わせたりされています。

  神宮における式年遷宮は、飛鳥時代の天武天皇が定め、持統天皇の治世の690年に第1回が行われました。その後、戦国時代の120年以上に及ぶ中断や幾度かの延期などはあったものの約1300年にわたって行われていて、今年が62回目です。

  第62回式年遷宮にあたり、全国に奉賛会が設立され、募財が行われています。今回の総予算はなんと550億円。そのうち330億円は神宮司庁が20年かけて遷宮資金として積み立てたもので、残りの220億円を広く国民から募ってきました。

  式年遷宮が20年に1回ということに深い意味があります。これは「伝統技術や儀式、その作法や芸能を守るための20年」なんです。たとえば宮大工さんが内宮などの正殿や御垣、鳥居なんかを作るのですが、これが100年に1回だと、前にやった人がいなくなって技の継承ができない。
 20年ごとに遷宮すれば、20才代で初参加、40才代で中核人材として参加、そして60才代で頭領として正殿建築を率いる。これを繰り返すと1300年間、伝統の技、一流の技能が承継できるということでしょう。宮大工だけじゃなく、木細工や機織り、絹作り、料理方法などなど、内部の装飾や小物もすべて作り直すわけで、多種多様な伝統技術を絶やさず次の世代に伝えることができるのです。

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冬至の宇治橋


  冬至の早朝、皇大神宮の五十鈴川に架かる宇治橋と鳥居を結ぶ直線上に、天気が良ければ太陽が昇ってくる神秘なひと時を感じます。


  宇治橋は全長101.8メートル、幅8.4メートル。39本の橋脚は水に強いケヤキ材を使用、渡り板616枚など橋脚以外はヒノキ材を使用する木造純和橋。その両端に大きな鳥居が建ち、鳥居の太いヒノキ材は前回の遷宮後、解体された外宮と内宮の正殿で使われていた棟持(むなもち)柱を再利用したものです。

  橋の入り口に建つ鳥居が外宮、渡った神苑側のものが内宮のもの。さらに次の遷宮で桑名市の「七里の渡し」、亀山市の「関の追分」に立つ鳥居として、それぞれ移され再々利用されます。


  この神々しい朝日をカメラに収めようと近年、早朝より大勢のカメラマンが宇治橋前に並びます。特に冬至の朝にはほぼ中央に朝日が昇ることから深夜から陣取るカメラマンも見られるようになりました。

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外宮奉納市


  10月15日からの神嘗祭を前に天照大神のお食事を司る「食と産業の神様」をお祀りする豊受大神宮で全国の生産者が自然の恵みに感謝して、「正直なものづくり」を誓い、自慢の逸品(食品)と宣誓書を外宮に奉納しましました。そして門前でひろげられた「外宮奉納市」で、その奉納品と同等の品をお披露目・販売しました。

   農産物・海産物から調味料やお菓子まで、さまざまな品が並びました。

  志摩半島で活躍する若い海女さんも市のなかでお客さんの接待をしました。

   悠久の時を祈りに捧げてきた神宮の一番大切な行事の神嘗祭が始まります。

  宮中祭祀の大祭である神嘗祭は、その年の初穂を天照大御神に奉納する儀式が執り行われるもので、天皇陛下の勅使が陛下の刈りとられた初穂、神酒、神饌を奉納される。

    勾玉の池のほとりに作られたせんぐう館に大勢の人が訪れます。

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多賀宮遷宮


  平成25年の式年遷宮でこの年に豊受大神宮では、正殿と多賀宮だけが建替えられます。

  正宮から98段の石階を上がった高いところに、外宮の第一別宮である多賀宮がご鎮座になっています。元の名前は高宮で豊受大神宮が創立された際、多賀宮も同時に奉斎され豊受大神の荒御魂がお祀りされています。


  遷宮が正殿と同じ年に行われるだけでなく、勅使参向の際はに、恒例祭と臨時祭とをとわず正宮の祭典終了後ただちに幣帛が奉られることからも重要な位置づけになっていることがわかります。

  式年遷宮は、1,300年ほど前の持統天皇の御世に第1回目が執り行われ、途中戦乱などにより中断もありましたが、平成25年をもって62回目と悠久の時を粛々と営んできています。そして、20年に一度、全てを新しくする事によって大神様に若々しくよみがえっていただく常若の精神があるんです。

  豊受大神宮のご祭神は天照大御神の御饌都神(みけつかみ)である豊受大神で、祭神名の中の「ヶ」とは、食・饌のことで、その名は豊かな食物の神であることを意味します。衣食住、ひいては産業全般の守護神なんです。

                  10月の朔日餅は、栗餅です。

  もち米の食感を程よく残した生地で、風味豊かな栗餡を包み、栗ようかんが乗っています。栗の味と薫りに、秋を味わい満喫できる上品な味です。

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