宝暦13年(1763・34歳)5月25日、江戸の国学者・賀茂真淵と対面がかない(松坂の一夜)、やがて門人となった宣長は、もっぱら『万葉集』について手紙で質疑応答を繰り返した。真淵からの指導と並行して、『古事記』研究に着手し、以後35年の歳月をかけ『古事記伝』44巻を執筆した。『古事記』は、712年に書かれた現存最古の歴史書。『古事記伝』はその注釈書。『古事記』研究の方法と意義を説き、全部漢字で書かれた本文に読みを付けて、更に背後にある当時の人の思想や世界観まで読みとろうとした。
宣長の学問領域は、「物のあはれ」論で有名な『源氏物語』や和歌研究、古道論、漢字音やてにをは研究などの国語学などと幅広いが、その傾向は二つに大別出来る。まず、和歌を論じて『古事記』に及ぶ流れである。思索の過程は『石上私淑言』に詳しい。
二つ目は、『古事記伝』である。国語学はもとより、国号や暦、天文の考察、吉野・飛鳥紀行『菅笠日記』も、みな『古事記』研究に包含される。
これを川の流れにたとえてみよう。源流は少年期の乱読である。やがて京都や和歌への関心に『源氏物語』が加わり少し大きな流れとなり、そこに「好・信・楽」の言葉で象徴されるような旺盛な好奇心がいくつもの支流として注ぎ込み、やがて『古事記伝』という大河となる。このように宣長の関心の推移は、非常に明確である。
宣長は、揺れ動く人の心を、物の哀れを知ると言い、歌や物語は物の哀れを知ることから出てくる物であると言っている。たとえば、宣長が高く評価した『源氏物語』も、「この物語、物の哀れを知るより外なし」と言っている。文学はそのような人間の本性に根ざしたものであり、そこに存在価値があるとした。
本居宣長2
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