天河大辨財天に古来より伝わる五十鈴は、独自の神器で、天照大御神が天岩屋戸にこもられたとき、天宇受売命(あめのうずめのみこと)が、ちまきの矛(神代鈴をつけた矛)をもって、岩屋戸の前にて舞を舞われ、神の御神力と御稜威をこい願われたことによって、岩屋戸が開かれ、天地とともに明るく照りかがやいたという伝承に登場する、天宇受売命が使用した神代鈴と同様のものであると伝えられています。
天河大辨財天社は、高野山、吉野山、熊野という日本の三大霊場を結んだ三角形の中心に位置していて、地元では、日本三大弁財天の筆頭・大峯本宮とされる霊験あらたかな神社とされ、芸能の神様としても知られています。
霊山大峯の緑深い山懐にいだかれた天河神社は、役行者や空海、天武天皇の太古より聖域として崇められ、川の流れの如く星の瞬く如く、如何なる権力にも組せず“ありのまま”で在り続けてきた場所です。
古より多くの聖人達がこの地を求めたのは、きっと“ありのままの本当の自分”に出会うためだったのでしょう。
辨財天は、川の流れの妙なる様を神格化したとされる、古代インドのサラスヴァティー神であり、その本来の神徳は水の神、そして、水せせらぎの如く素直で妙なる弁舌や音楽の神であり、日本の古代より行われてきた水神の信仰とも結びついています。
芸能界では、天宇受売命にあやかって俳優、舞踊、歌手、ラジオ、テレビタレントなどが、同床共殿のあり方と精神で奉載するようです。この三魂(みむすび)の調和統一に意を用いられ、芸能技芸練達に使われます。
この五十鈴の特徴的な三つの球形の鈴は、それぞれ、
●「いくむすび」
●「たるむすび」
●「たまめむすび」
という魂の進化にとって重要な三つの魂の状態(みむすびの精神)をあらわしています。
五十鈴の清流のような妙なる音の響きによって、心身は深く清められ、魂が調和し本来あるべき状態に戻り、新たな活力が湧いてくるといわれます。特に芸術・芸能の世界で精進される方々(俳優、舞踊、歌手、ラジオ、テレビタレントなど)が、天宇受売命の故事にあやかり、これを奉載され、この三魂(みむすび)の調和統一に意を用いられ、芸能技芸練達の器教とされています。
本殿への石段脇に鎮座する五つの社殿があります。手前から、龍の化身「龍神大社」、森本神社御祭神「大将軍大神」、天照大御神の別名「大日孁貴神」、菅原道真公の「天神大神」、琵琶山の地主守神「大地主大神」と祀られています。
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