乳母山之神祭り


  松阪市小片野町の山神の祭礼は、12月の最初の日曜日です。前日から町内の世話人がお餅を作り、幟を立て、祭壇をこしらえて準備を整え山神様に感謝をします。

  20年に一度の式年遷宮が平成26年に次回行われる予定です。小片野地区では、講を組んで受け継がれており、大切に祀られています。

  2俵以上のもち米が集められ、前々日からお米をかして一晩おいて、前日に搗いて鏡餅200個と撒く餅を作る作業をします。


  昔から農民の間では、春になると山の神が、山から降りてきて田の神となり、秋には再び山に戻るという信仰があるので、収穫が終わり豊穣に感謝をすることからこの時期に祭典を行うのでしょう。農民に限らず日本では死者は山中の常世に行って祖霊となり子孫を見守るという信仰があるのと、山は農耕に欠かせない水の源であるということや、豊饒をもたらす神が遠くからやってくるという来訪神(客神・まれびとがみ)の信仰が、各地に山神を祀る風習となっているのでしょう。

  大山祇神(おおやまづみのかみ)は日本全国の山を管理する総責任者とされています。その娘が、富士山の神の木花咲耶姫(このはなさくやひめ)神です。

  石に掘られた山神と社に乳母山之神が境内にお祀りされています。

  今年から神主をしていただくのは、松阪市職員から本居宣長記念館を経て今年、宮司になられた中山さんです。祭壇にお米、水、塩、野菜、魚、果物そしてお餅を乗せていきます。

世話役10人と子供会の代表3人が、お祓いを受け、玉串を捧げお祈りをします。

  お祀り事が粛々と行われると、一年の無事と五穀豊穣への感謝、家内安全と無病息災の祈りを込めてお餅が撒かれます。

  地元の方がたくさん集まってきて、静かな山が今日だけにぎわいます。

  小片野の山神は、江戸期の昔から山之神であり母乳を与かる神様として祀られていました。明治になり、政令により大石神社に合祀されましたが、戦後になり戻されたようです。
 言い伝えによると、昔、子を授かったが母乳が出ずに困っていた人が、この神様に願をかけたところ、ある日、片一方の乳房に山神の化身が現れ、この谷の水で三度のご飯をするように勧めたので、そうすると、たくさんの母乳が出るようになり、立派な男の子に育ったということです。
 今でも、出産を控えた人や家族がお参りをしてお水を持って行かれます。

  山からの綺麗な水がお社の前を流れていて、手水場があります。

   乳母山之神大祭は、地区の人たちの交流の場でもありますね。


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