志摩市磯部町にご鎮座し天照坐皇大御神御魂をおまつりする「伊雑宮」は、皇大神宮別宮で「いざわのみや」というのが正しいのですが、「いぞうのみや」と呼ばれています。古くから天照大御神の遙宮(とおのみや)といわれ、また礒部の大神宮さんと呼ばれ、深い信仰があります。特に漁師、海女の崇敬があつく伊雑宮で「磯守」を受け、身につけて海に入るのが風習となっています。
二千年くらい前に、天照大神にお供えする魚や海藻が必要だったので、倭姫命が志摩地方を回られていた時、磯部あたりで、一羽の鳥が昼も夜も鳴き叫んでいたので「不思議なことよ」と地元神の伊佐波登美命が、家来の紀麻良に命じてそこへ行くと、今まで鳴いていた鳥が鳴きやんで、何か落としたそうです。よく見ると、それはそれは見事な稲穂で、この稲穂を落とした鳥は「白真名鶴」であったといいます。
倭姫命は驚くやら不思議やらやらで「物言わぬ鳥でも、このようにして大神様に仕えまつる」と申し、伊佐波登美命に託して、この稲穂を抜穂にして供えたそうです。また、大幡主命が乙姫に命じて、清酒を作らしめてお供えしました。
伊佐波登美命は、お宮を造って天照大神を祀ったのが別宮(伊雑宮)となったとされています。
正殿の造りは内宮に準じ、千木が内削ぎで鰹木が六つの唯一神明造です。
社叢に何本もの大きなクスは有ありますが、二本のクスが目立ちます。もとはつながっています。
社務所の横にもクスが立っていますが、この下の部分がこんもりと膨れていて、巾着のように見えることから伊雑宮の「きんちゃくクス」と呼ばれています。お金を貯めたい人は、このきんちゃく部分に手を当てお願いするとかなうといわれています。
見れば見るほど、不思議な形をしていますが、この膨らみは、根なのでしょうか、幹なのでしょうか?
苔が生えていて、巾着部分だけを見ていると、まるで木ではなく生き物いみたいです。 金運に授かりたいとコブの部分を触りたいと思いましたが、柵に囲まれたいますので、静かにお祈りだけさせていただきました。これでも十分ご利益があるように感じます。
後ろも膨らんでいますので、かなり貯まってそうですね。
毎年6月24日に行われる、白真名鶴の伝説がその起源と伝えられる伊雑宮御田植祭(いざわのみやおたうえまつり)は、千葉の香取神社、大阪の住吉大社とともに日本三大御田植祭の1つに数えられ、志摩地方に初夏の到来を告げるものです。
御田植式で行なわれる伝承芸能は、磯部の御神田として1971年に三重県の無形文化財に、1990年には国の重要無形民俗文化財に指定されました。
倭姫命世記の記述から平安時代後期には行なわれていたと言われていますが、信頼性の高い記録では鎌倉時代の1280年に記された文書が神宮文庫に残されています。
御田植された田んぼで、苗から稲へとすくすくと育っています。
朝八時十分頃から、夕方17時ごろまでの予定が書かれています。勇壮な男達が大きな団扇のついた忌竹(いみだけ)を奪い合う竹取神事や古式ゆかしい装束に身を包んだ太鼓打ちや簓摺(ささらすり)らによる田楽が響きわたる中、白い着物に赤いたすきがけをした早乙女たちによって厳(おごそ)かに行われる御田植神事、その後、一の鳥居に向けて行われる踊込みが約二時間行われ、千秋楽の舞でめでたく終わります。
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