製品安全をめぐっては、規制への対応にとどまらず、積極的かつ自主的な取組を進めることで成長の原動力を手
に入れる企業が現れはじめている。
オーガニック原料※1(綿・羊毛・羽毛)を使用した製品(寝具、タオル、肌着等)の企画・製造・販売会社であ
る?ハートは従業員20名と小規模ながら、大手企業に引けを取らない徹底した品質管理、具体的には製造に関わる
すべての工程の履歴追跡・汚染防止記録・環境管理体制を確立し、顧客である生協や消費者から高い評価を得ている。
オーガニック製品として認定されるためには、純粋なオーガニック原料を使用しているという原料証明に加え、
製品の製造・流通過程にかかわる全工場・倉庫について、農林水産省登録の有機認定機関が実施する実地検査を受
け、基準を満たしていることが条件となっている。
そして、そのためには原料調達から製品販売までの全工程にわ
たる管理体制を敷くことが必要とされる。
同社は、かつてオーガニック製品を使用した消費者の皮膚がかぶれたという製品事故を契機に、オーガニック製
品としての基準を満たすための取組が完全にはできていなかったことを重く受け止め、全面的に製造・流通経路を
見直し、徹底的に改善を行った。
製品に付したロット番号により生産履歴を追跡するシステムの構築、全工程で化
学合成薬品による移染・汚染・混入がないことを証明するための蛍光検査、管理書類による裏付け調査、協力工場
の教育など、汚染防止・管理への徹底した取組はこうして出来上がった。
その後、欧米の有機基準に基づく審査・
実地検査を受け、2005年には登録認定機関であるエコサートQAIジャパン( EQJ )による有機国際製品認証(2009
年2月時点で、認証取得企業は国内4社のみ※2)を取得した。同社は認証取得後も、製造協力会社を含め自主的に
検査を行い、検査結果をEQJに報告している。同社のそのような取組が顧客の信頼獲得につながり、販路が急速に
広がっている。
※1 オーガニック原料は最低3年間以上、化学合成農薬・肥料を使用していない農場で生産されるものをいう。
※2 現在、エコサートは認証基準としてGOTS( Global Organic Textile Standard)の国際基準を適用したことから、同社も同基準へ変換審査中。
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g90519a05j.pdf
http://弊社の取引先が掲載されておりました