
ちりめん細工・蓮袋
全国各地から蓮の花の便りが届く季節です。
ちりめん細工の蓮袋は直径20cmほどのものです。
花芯の部分が袋になっていて、昔のむすめさんは、お琴の爪入れに使っていたようです。
蓮は別名:レンコン・ハスネ(蓮根)ともいいます。
原産地:インド
20世紀の中ごろ、大賀一郎さんが弥生時代の地層から蓮の実を発見。
なんと2000年も前の実でした。
そして発芽、開花に成功して、「古代ハス」として全国的に広まっています。
すごい生命力ですね。
この蓮の花、仏教と深い関わりがあって、仏像の台座に「蓮華座(れんげざ)」というのがありますが、蓮華とはハス(蓮)の花そのもののことです。
そういえば誰もが知っている童謡、
♪ ひ?らいた ひいらいた なんの はなが ひ?らいた
れんげの は?なが ひいらいた ♪
私たちはついつい「レンゲソウ」のことだと思いがちですが、実はこの「れんげ」、蓮の花のことなんですね。

ちりめん細工・あじさい袋
うっとうしい梅雨の季節が近づいてきました。
梅雨の時期は、だれも余り歓迎しませんが、この梅雨がないと農作物の不作や、夏の水不足が深刻になってしまいます。
小雨に煙る庭先で、あじさいの花を見かけたりすると、うっとうしい気分も吹き飛んで、しばらく見入ってしまうこともありますよね。
あじさいの花言葉は「移り気」。
花の咲き始めから、七色の変化を見せる花弁(実際は「がく」の部分が花弁に見えるのですが)のために、このような花言葉が生れたのでしょう。
でも、ちりめん細工の「あじさい」は、残念?なことに花の色が変化しません。
決して「移り気」ではないのです。
このあじさい、正方形のちりめんを何と264枚縫い合わせて作ったものです。
大変な根気と努力を必要とします。
何となく本物のあじさいを連想させ、ちりめん細工のなかでも季節感を強く感じさせてくれる作品のひとつです。

ちりめん細工 えび袋
ちりめん細工のえび袋です。
何となく伊勢えびに似ていませんか?
えっ!「かわいらしすぎる?」
そうなんです。このえびは特に目にチャームポイントがあって、とてもかわいらしいのです。
えっ!「おいしそう!」
残念ながら食べられませんよ。
今まで「かわいい!」といった人はいますけど、「食べたい・・・」なんて。かわいそうですね。

ちりめん細工・金平糖
金平糖って聞くと、とっても懐かしいと思われる方も多いと思います。
私たちの年代の人間は、5円玉のお小遣いをもらって駄菓子屋さんに行くと、定番のように買った記憶がよみがえります。
あの独特の色は、今ではちょっと見かけないような色彩であったような気がします。
そして、まだまだ甘いものが少なかった当時は、これまた今は味わえないような、甘ぁ?い味と香りが貴重で、この袋を見ると、当時が懐かしく思われます。
私と同じような気持ちをもたれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
さてこの金平糖袋、誰が名づけたのかは定かではありませんが、やっぱり何となく金平糖に似ています。
お子様の七五三のお参りや、お嬢様の卒業式にも持てるような、ちりめん細工の中でも、実用的な大きさの袋物の一つです。

ちりめん細工・針山
残念ながらおまんじゅうではありません。針山です。
これはちりめん細工の「針山」です。
最近ではお裁縫を習われるお嬢さんが、ほとんどいらっしゃらなくなってしまいましたが、むかぁ?し、昔は、若い娘さんたちが裁縫のお稽古の合間の楽しみに、こんなものを作っていらっしゃいました。
実はこのおまんじゅうに見える針山も、ちりめん細工(ちりめんお細工物)の技法の中でも、大切な部分が含まれています。
それは上のほうに見える星型の部分です。
よく写真を見ていただくと、中心に近くなるほど「しわ」がよっています。「いせこみ」といって、特定の部分だけをふっくらと見せるための技法です。
この技法を使ってつくられた代表的な作品は、またの機会に改めてご紹介します。
このようにちりめん細工には、ふと見逃すようなところに、日本の手芸とお裁縫の技術が凝縮されています。