ちりめん細工・せみ袋

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この地方でもセミの泣き声が聞こえ始めました。
かつては町の中心部で聞こえるセミの鳴き声は大体3種類位のものでしたが、このところはクマゼミが優勢になって、アブラゼミやニイニイゼミが少なくなってしましました。
少し市街地を離れるとツクツクボウシやヒグラシの声を聞くことも出来ますが、これも昔に比べると随分少なくなったように感じます。

 

ちりめん細工のせみ袋は羽根や胴の部分に変化をつけると、どれだけでも種類を増やすことが出来て、作る人の楽しみを提供してくれる作品の一つです。

 

これからしばらくは、「蝉時雨」で目を覚ますことが多くなりそうです。この蝉時雨という言葉はうるさいほどのセミの鳴き声とは裏腹に、何とも美しい響きを持った言葉ですね。
セミの鳴き声がうるさく感じる時には、「蝉時雨、蝉時雨…..」と唱えてみると、暑さ忘れて気分スッキリということになるかもしれませんよ。

 

 

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ちりめん細工・竹巾着

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ちりめん細工の中でももっとも地味な作品の一つ。竹というよりは笹の葉の形をした巾着です。
松巾着、梅巾着とともに、三点でお祝い事などの飾りにも使われていたようで、ちりめん細工の中でもかなり格式の高い作品といえそうです。
もちろん単独でもお守りや大切な物を入れるなどして、実際の生活の中でも使われてきました。

 

この巾着の面白いところは、見てお分かりのように微妙に左右対称でないところです。
以前から不思議に思っているところですが、昔に作られた古作の多くも同じように対称でないところを見ると、わざわざ形をゆがませて作ってきたのかもしれません。

 

ちりめん細工の世界はどこかに「一捻り」が加えられている物も多く、強いこだわりを持った人たちが作り始めた形跡が随所に残っています。

 

 

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ちりめん細工・朝顔袋

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かつては夏になるとあちこちの家の前に置かれていた鉢植えの朝顔。もっと大掛かりになると面格子の日除けになっているものも見かけました。
こんな夏の風物詩のような風景も、最近では余り見ることができなくなってしまいました。

 

加賀千代女が詠んだ俳句「朝顔やつるべ取られてもらひ水」は、江戸時代からいかに朝顔が人間の生活の中に深くかかわっていたかを、俳句の中でも物語っています。
叙事的視点で見た普段身の回りに起こる情景を、叙情的な風景に変えたこの句のすばらしさは、ちりめん細工の朝顔袋にも受け継がれているような気がします。

 

ちりめん細工鑑賞の仕方は、見る人それぞれに違った感じ方が生まれるのも、また大きな魅力の一つです。

 

 

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ちりめん細工・松巾着

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いかにも松の枝振りを模したと思われる松巾着です。
幅が20cm程度の大きさですから、巾着の中では少し大きめの部類ですね。

 

小さな物やお守りなどを入れる巾着類は、比較的地味な作品も多く見た目の楽しさはありません。
もともとは竹巾着、梅巾着と一つのセットになっていたとも考えられています。

 

ただお祝い事の時などに何かを入れる巾着として作られたと考えるのも、ちりめん細工の世界では妥当かもしれません。
見事な松の枝振りが美しく映されたフォルムは、何ともいえない美をそなえています。

 

 

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ちりめん細工・籠底の小箱

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大正時代には竹や籐で編んだ籠の底の上に、布をつけた袋物が大流行しました。
この小箱もたぶんボール紙でつくった箱の表面に、同じ技法でちりめんを編んで貼ったものと思います。

 

籠底は市松文様がとても美しく、色数をたくさん使えばもっと華やかな雰囲気が作り出せるのですが、この小箱はシンプルな色の取り合わせが何とも魅力。ちりめんを芯に巻いて作ったテープを使って編んだ籠底は、シンプルながら色柄の変化がおおいに楽しめる技法です。

 

最近では荷造り用PPバンドで籠を編んでおられる方も多いと思いますが、色数も豊富になってステキなデザインの籠を見ることが出来るようになりました。
実用にして良し、装飾用の利用にもおしゃれな雰囲気を作り出す籠底の技法は、これからもずっと作り継がれていくことでしょう。

 

 

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あきない100年
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